2022/10/11

ウェイトで形状の質感を表現する

はじめまして。
GUILD STUDIO株式会社のリガーのC.Sと申します。  

この度、ご縁があり7月から3カ月間、BACKBONE様のRig道場を受講させていただいております。
Rig道場では、OJT型の作業を通して『骨打ち、ウェイト、捻り曲げの処理、補助骨の処理、階層』など、リグの基礎的な内容を中心に学びました。  

今回は、Rig道場で学んだことの中から『ウェイトで形状の質感を表現する方法』についてご紹介します。    

 

 はじめに

キャラクターの衣装や装飾品の質感を硬く表現したい…と悩まれた経験はないでしょうか。
下図のサンプルデータを作成しました。
※ディテールは詰めておりません。また体と装飾品は一体ではありません。

このようなベルトや金具にウェイトを振る際は、大腿部のウェイトを転送すると楽ですが、
その方法では下図のように、硬くあるべきものが伸びるといった結果になります。
※特に上部のバックルの形状が崩れています。

rivetやfollicleを使用して金具を固定し伸びないようにすることも出来ますが、
案件によっては処理負荷の問題などでその方法が使えないことがあります。
そういった場合には、ウェイトで表現する方法が有効です。 

では、実際に設定していきましょう。

 

設定方法

下図のように凹凸や厚みがあるとウェイト作業が大変です。

バックルなどの細かいパーツも削除し、一枚の状態にします。

全体図

元のオブジェクトとの比較になります。
かなりシンプルになりました。

ここで大腿部のウェイトをLowケージに転送してみます。

大腿部のウェイトをそのまま転送しただけなので、全体的に歪んだ印象になっています。

下図のポイントに注意してウェイトの修正を行います。

ここで一度Lowケージからレンダーモデルにウェイトを転送してみます。

 

<補足>
もしガタつく箇所があれば、Lowケージのエッジを増やしたモデル(以下Midケージ)を作成します。Lowケージからウェイトを転送後、Midケージでウェイトの微調整を行ってからレンダーモデルへ転送することでガタつきを緩和することが出来ます。

次に、バックルとベルト部分の質感は保てていますが、金具部分が少し歪んだ印象になっているので金具部分のウェイトを、ベルトの中間のエッジ(緑線の箇所)のウェイトと同じ値にします。

金具の形状がシンプルなので少し分かりづらいですが、歪みが解消され硬い印象になりました。
※上記の修正を行ったものと行っていないものを重ねています。

 

<補足>
この修正を行った際に金具部分がベルトにめり込んでしまう場合があります。
その場合は完全に硬いものではなくなりますが、
下図のようにMidケージの必要な箇所にエッジを追加したモデルを作成し、
ウェイトを調整してからレンダーモデルにウェイトを転送することで
めり込みを回避しつつ硬い印象を作ることができます。

 ウェイト調整後 ※変化を分かりやすくするために少し極端に設定しています。

上記のウェイトだと金具部分は硬い印象になりますが、
ベルト部分が極端にガタついてしまいます。
なので下図のような金具部分の硬さを維持しつつ、
ベルト部分もガタつき過ぎない程よいウェイトを目指します。

2.結果

全体的に硬い印象になり、形状の質感が保たれたデフォームになりました。
必要に応じて複数個のケージモデルを作成しながら作業を進めることによって、
より短時間で自然なデフォームを再現することができます。

 

3.補足&まとめ

ケージモデルからレンダーモデルにウェイトを転送しただけでは、
きれいなウェイトにならずレンダーモデルでウェイトの修正が必要な場合があると思います。
特に、回転軸の近くに凹凸があると下図のように潰れてしまいます。

その場合は下図のように付近のウェイトを同じ値にすることで形状が潰れないようにすることが出来ます。※画像では一つの頂点からのみウェイトを転送していますが、複数の頂点からウェイトを転送してブレンドすることで違和感を緩和することが出来ます。
100%でブレンドしたウェイト

80%でブレンドしたウェイト

 

頂点のウェイトをコピーし、他の頂点にコピーしたウェイトを0から100%の間でブレンドして転送できるツールです。※少し前にこのツールについてご紹介されていたブログ記事です。
https://backbone.wpx.jp/blog-pysidesliderundo/

 今回は少し形状は潰れてしまいますが、80%くらいでブレンドしました。

特に学生さんはrivetやfollicleを使用した制御は少し難しいかもしれませんので、ぜひこの方法を試してみてください。

 

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